イキウメ × 散歩する侵略者
「ありがとう。それをもらうよ」
巾着型のビニールに水が半分入っていて、そこに赤金に光る金魚が浮かんでいた。
巾着を締める紐を二本指でつまんで顔の前に持ってきた男は、その様子を怪訝そうに見る男に金魚が死んでいることを指摘される。
巾着を持った男は指摘する男を見、視線を金魚に戻すと手を離し巾着は地面に落ちて割れた音がした。
バシャ!
音と共に照明は消え、わたしの気分も最悪だった。
気味が悪く、ということは最高の舞台だということでもあった。
散歩する侵略者、劇団イキウメの名前を恥ずかしながら今回初めて聞いた。
福岡に来てくれる舞台はだいすき。
何故か福岡公演チケットは一般しか無かったけれど。発売日の午後にチケットを取ろうと思ったら予定枚数終了で。めちゃくちゃびっくりした。
正直なめてました。大変申し訳ありませんでした。
フォロワー様のご慈悲によりチケットを譲っていただき、無事私と友達の分二枚入手。
友達は他ジャンルのおたくだけれど応援スタンスは同じなので、「失礼がないように」と今作品の本を事前に買って読んでくれていた。
ファビュラスだなと思った。ありがとう。
一方わたしはあらすじ以外な〜〜〜〜にも知らない状態で見てワー!っと衝撃を受けるのが好きなので、
情報は何も入れず見ました。
そのお陰で騙された。
あらすじ
海に近い町に住む、真治と鳴海の夫婦。真治は数日間の行方不明の後、まるで別の人格になって帰ってきた。素直で穏やか、でもどこかちぐはぐで話が通じない。不仲だった夫の変化に戸惑う鳴海を置いて、真治は毎日散歩に出かける。町では一家慘殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発。取材に訪れたジャーナリストの桜井は、“侵略者”の影を見る_。
以下ネタバレ
真ちゃんが最初に金魚を「この人」と呼んだのは中に宇宙人がいたからなんですね。
あと雲の映像は、飛行機の音がしているのに飛行機雲が無い=戦闘機 あたり。
初見気付かなかった。
始まりはホラーなテイストで進んだので最後まさかあんな気持ちにさせられるとは全く想像が出来なくて、鳴海の真ちゃんを想う気持ちの膨らみや、桜井の興味から焦りへの心情の変化が舞台でうまく表現されていたと思う。
あと衣装がころころ変わって観ていて楽しかった。
だからこそ長谷部くんはなぜ歳のはなれた親でもないニートのことをあんなに取り戻そうとしたのか理解に苦しんだ。長谷部くんにとってあの街には丸尾しかいなかったのかな。丸尾があと20歳若ければな。
車田先生が大好き。
男の人の泣く演技はほんとうに、良いね。
真ちゃんが愛の概念を得て悲痛な叫びをあげながら鳴海の膝にうずくまる様は観ていて痛々しかったし、こっちも泣いたし、あのシーンだけでチケット代分くらいはあるし…
小説も読みました。ちょいちょい違う設定はあったけれど許容範囲。
舞台と小説がお互いをお互いが補っていて読んで損はなかった。
真ちゃんが愛の概念を得て世界に色がつきはじめた様は小説で詳しくかかれていて、成田から東京駅へのバスの中で読んでたんですけど、バスの中でぽろぽろ泣きました。
映画は見てませんが、どうやら宇宙人が攻めてくるらしく…?
終わりは舞台版が一番好きかなあ…
どうすすむかもうこっちは何も分からない終わり方。切ない気持ちのまま終われて良かった。
観劇からすこし時間が経ってこのブログを書いているので、新鮮な感想を残せなかったなと反省。ちゃんとすぐに書き残さないとな。
また追記するかもしれませんが。
今日はこのへんで。